かかわる人を助けるために

【No.955】

 

担任になったから、教科担当になったから、顧問になったから、担当する生徒は全部自分が成長させなければいけない。そのために自分の力を磨くんだ。

 

という熱意をもって生徒や保護者と対峙する教員がいる。

 

プライドをもって仕事をすることはやりがいにも、自身の成長にもつながるから必要な感覚だと思う。

 

でも、危険性も十分にはらんでいる。

 

どれだけ頑張ってもうまくいかないこともよくある。

 

うまくいかないことが続くと「自分が何とかしなければ」という思いになる。

 

そして、それ自体がいつの間にか目的となってしまう。

 

厄介なのがうまくいっていないスパイラルに入ると、目的がいつの間にか変わってしまっていることに気づかない。

 

本来、その教員も目的は「生徒を成長させることや成長に必要な力を蓄えること」であると思う。

 

「自分自身がそうさせること」は目的ではなく、手段の一つでしかない。

 

それを誰かが教えてあげる必要がある。

 

プライドを傷つけないように配慮しながら、伝える。

 

でも、本当に信頼し合えている関係ならば素直に聞けるが、なかなか難しいのが現状である。

 

だから、自分で気づけるようにそっと仕掛ける必要がある。

 

定期的に目的を見つめ直す時間を全体で取るとか、比較的うまくいっている人との会話にあえて「目的は生徒が成長するためですからね」などとその教員に聞こえるように言ってみるとかである。

 

そして、何より年度始めに「みんなで育てること」を学年団を始め、関わる教員みんなの共通理解とすることである。

 

このとき、学年主任からの一方通行にならないように注意する。

 

ちゃんと話し合いの上で納得してもらう。

 

自分自身も、自分が生徒に伝えるよりも「女子生徒なら女性教員から伝えてもらった方がよい」とか「自分よりもその生徒と身近に感じられる若い教員に伝えてもらった方がよい」とか「その生徒が信頼を置いている顧問に協力してもらい伝えてもらう方がよい」とか内容や状況に応じてお願いすることが多い。

 

だから、その逆で自分が直接その話題にかかわっていなくてもお願いされて伝えることもある。

 

そういうつながりのある環境づくりをしていく。

 

それが、生徒も教員も助けることになる。