生き生き

【No.516】

 

学生のときに

 

「部活動を一生懸命にやっていた人は、受験勉強を最後の最後まで頑張れるから部活動を真剣にやっていなかった人より伸びる」

 

と言われたことが何度もある。

 

その度に「本当かなあ」と疑問に思っていた。

 

「部活動を一生懸命にやると学力が上がる」ならば、やりたい部活動を一生懸命にやっていればよいのではないかという話になってしまう。

 

しかし、現実はそうではない。

 

部活動を一生懸命にやっていて、受験勉強が思うようにいかない人、思うような結果を出せなかった人もいる。

 

でも、なぜその言葉を何度も聞くくらいみんなが使うのだろうか。

 

理由は2つあると思う。

 

1つ目は、「大丈夫だよ」と安心させるためである。

でも、これは根拠のない支援は逆効果になる場合もあるので、よかれと思ってやっているが、実は危険だ。

 

2つ目は、エネルギーの使い方を知っているから、そのエネルギーを使う方向を勉強に向ければよいというものである。

これは半分正解で、半分不正解だと考えている。

確かに一生懸命に目標に向かったことのある人は、目標達成までの過程を十分に知っている可能性がある。ここで重要なのが、目標達成に向けて自分で思考しているかである。トライアンドエラーを繰り返し、納得の結果を得られた人は、受験にも上手く応用していける可能性は高い。

逆に、監督に言われるがままやっていた人は、受験に応用することはできない。誰かが言ってくれないと何をしてよいか自分で考え、判断ができないからである。だから、燃え尽きて、勉強にも身が入らない人が出てきてしまう。

 

受験がゴールでないことは重々承知である。

 

むしろ、受験においても、自分で思考し、判断した人はその先の社会でもやっていける。

 

ここまでの話からすると、教育の中で、

 

「自分で思考し、判断する力」はとても重要な力である。

 

生徒が「思考」「判断」を行えるような環境としては、「教師からのベクトル(指示や説明など)が最小限であること」が必要不可欠である。

 

必要なときだけ、必要に応じて出る。

 

これが生徒が生き生きする肝である。