語り

【No.1094】

 

2,3年目のときは「生徒に何を語るか」が自分の大きなテーマにして過ごしていた。

 

生徒をうまく褒め、

生徒のやる気を引き出し、

生徒を鼓舞し…。

 

いつの間にか「何を語るか」が「どんな言葉を使うか」に目標が変わっていた。

 

本を読んだり、先輩教員の授業を観させてもらったりした。

 

一語一句メモしたり、ビデオを撮ったりもした。

 

そこで追っているのは、「言葉」のみである。

 

どうしてその言葉を選択したのか、どういう伝え方をしたのかなどには意識が向いていなかった。

 

だから、真似しても伝わらない。

 

うまくいかないことの方が多かった。

 

大きな変革は「生徒の見取り」に意識が向いたことである。

 

生徒(たち)の様子をよく観察し、どうしてその言動をするのか観ていくことで、これまで蓄積してきた「言葉」がつながり始めた。

 

うまくいかないことももちろんあるが、ちょっとずつ生徒の実態に合った話ができるようになってきた。

 

若い教員と話していてそんなことを思い出した。

 

今だにいつもいつもバシッと決まる語りができているわけではない。

 

昔はそれが辛かったが、最近はそれを楽しめるようになってきた。

 

「もっとよりよい語りがあるはずだ」と思えている。

 

心身ともに充実しているのだろう。

 

この時期にじっくりと向き合い、一つ殻を破る。