【No.703】
今日は放課後部活動に行かず、別の作業をしている生徒がいた。
やり取りは以下の通り
T「それ明日までだけど、今は部活動の時間だから部活動に行きましょう。」
S「何でですか?明日までに仕上げないといけないんで。」
T「明日までに仕上げないといけないのは以前からわかっていたはずだよ。今は部活動の時間だから部活動に行きましょう。」
S「嫌です。」
T「じゃあ例えば英語の課題が終わってなくて、でも、今日が締め切りだったとする。数学の授業中に英語の課題をするのかい?」
S「それとこれとは全く話が違います。」
T「どこが違うの?」
S「英語の課題をやるのは休み時間にやれます。」
T「うーん。確かにそうかもしれないけど、やらなきゃいけないことを別の活動をするべき時間にするのはおかしいと思わないかな?」
S「それとこれとは別です。」
T「ああ、そうか。じゃあこれは家に帰ってからやる時間は無いのかな?」
S「はい、全くありません。」
T「そうなのか。大変だね。ちょっとも時間が無いのかな?」
S「はい、自分のライフスタイルがあるんで。」
T「ライフスタイルってどういうこと?」
S「ライフスタイルです。わかりませんか?」
(この辺でカチンとくる。言葉は穏やかを通しているが、表情からはイライラが伝わっていたかもしれない。笑)
T「わからないから聞いているんだよ。ライフスタイルは人それぞれ違うでしょ。どういうライフスタイルか教えてくれる?」
S「何でわからないかなあ。」
T「じゃあ何時に家に着くの?」
S「20時過ぎです。」
T「遅いんだねえ。大変だね。」
S「はい。」
T「そこからまず何をするの?」
S「ご飯を食べます。」
T「何分くらい?」
S「日によります。」
T「じゃあ今日の予定でいいよ。」
S「まだ晩ご飯が何かわからないので、わかりません。」
T「え?でも、さっき家での時間は全く無いって言っていたけど、どうやって判断したの?」
S「いや、やることあるんで。」
T「じゃあそれを教えて。だいたいでいいから時間を教えて。」
S「30分くらいです。」
T「そうしたら余裕みて20時45分には食べ終われそうだね。」
S「はい。」
T「そこから何するの?」
S「自分のやるべきことです。」
T「ほう。具体的には?」
S「委員会の企画書作成、風呂、余暇などです。」
T「自分の好きなことをやる時間も大事だもんね。何時になる予定なの?」
S「1時です。」
T「遅いねえ。いつもそのくらいなの?」
S「はい。」
T「体調崩さないようにね。」
S「はい。」
T「企画書は素案はあるの?」
S「今日の委員会で骨組みは考えてあります。でも、校長先生、教頭先生に見てもらう必要があるのできちんとした様式で書かなきゃいけなくて…。こういうのを書くのは初めてなので、どのくらい時間がかかるのかわからなくて…。」
T「そうなんだあ。委員会の仕事もあるんだね。学校をよりよくしたいという思いを企画書に込めたいよね。」
S「はい。」
T「家ではそれに時間を費やしたいから、今これをやりたいということだね。」
S「そういうことです。」
T「そういうことか。やっと思いがわかったよ。部活動の顧問にはこの作業をしているのは伝わっているの?」
S「いえ、伝えていません。」
T「そうか。大事なこととはいえ、勝手にやるのはよくないかなあ。」
S「はい。」
T「今話したことをちゃんと顧問に話してみたらどうかな。無断でやるのは印象がよくないからね。」
S「はい。」
T「もし、うまく伝えられなければ先生もフォローするからね。覚えておいて欲しいのはちゃんと伝えれば理解してくれる人はいるってこと。今では頭ごなしに部活動に行けって言ったのは、適切じゃなかったと思っているよ。ごめん。」
S「はい。」
T「応援しているからね。それでは行っておいで。」
このようなやり取りがあった。
最後の方は穏やかに話せたが、途中、余裕がなかったのは自分の器の小ささ故である。
でも、強制的に部活動に行かせていたら関係は冷えたままである。
10分ほどのやり取りであるが、話せてよかった。
そして、結局そのあとその生徒は部活動をしていた。
もしかすると少しは心が満たされたところもあるのかもしれない。
やるべきことは重なっているが、どちらも精一杯頑張ってほしい。
自分自身、この指導を振り返ってもまだまだ未熟である。
今考えるとこういうことを伝えてもよかったなあという思いがわいてくる。
これからも生徒理解に磨きをかけていく。